【正月飾り・しめ縄】なんとなく飾っていませんか?
「縁起の良い飾り方」「処分の方法」まで
―目 次―
【はじめに】
(1)車のお飾りはなぜ激減したのか?
(2)車のお飾りは減りましたが玄関のしめ縄は好調です
(3)どうして日本人は「しめ縄」を飾るの?
(4)しめ縄の内側は神聖な場所という意味があります
【しめ縄・しめ飾り】お正月マナーこれだけ知っていたら安心です】
(1)どこに飾ったら縁起の良いの?
(2)いつから飾ったらいいの?
(3)しめ縄の種類が多くて何が良いかわかない
(4)いつまでに外すの?
(5)処分の仕方は?
(6)しめ縄以外のお正月の縁起物
【お正月の神様を迎えやすくして、災いを入れない「しめ縄」】
【次回予告】
意外と簡単!【正月飾り・しめ縄】お正月準備にお子様とぜひ作ってみてください
12月も年末に近づくと、家庭を持っている人はおせちやお正月の準備が始まり慌ただしくなりますね。
実はここ数年のことですが、百貨店で冬のフラワーギフトの催事に出店をしていると「クリスマス」ものより「お正月関連」の方が断然売上が良いです。特にしめ縄やお正月に飾るフラワーアレンジがとてもよく売れるのです。
良く売れる理由としては、お正月関連ものはクリスマス商品よりも長い期間自宅で楽しむことができるからです。
日本の場合、一般的に来客が多くなる新年は、お正月飾りも華やかに新調したいと皆様思われるのかもしれません。
何より「1年の計は元旦にあり」の言葉通り、やっぱりお正月は年神様をきちんとお迎えして縁起よく過ごしたいなあと思いますよね。
ところで最近「車のお飾り」見ないですよね?
私が子供の頃は、お正月には皆車の前にお飾りがしてありました。1970年代以前の生まれの方であればきっと「そうそう!」と懐かしく思って頂けるはず。
(出典:http://d.hatena.ne.jp/nisinojinnjya/)
でも最近ほとんど見かけなくなった「車のお飾り」。見かけないどころか東京では一台も見かけないかもというくらい珍しくなりました。
車のお飾りはどうして無くなってしまったのでしょうか?調べてみたのですが、残念ながら正確な資料はありませんでした。でもどうやら大きな理由はこのふたつのようです。
●昔ほど車は大衆の憧れではなくなった
昔は車がステータスで、家族に1台でした。当然、車は大事にされていたので、お飾りもつけてもらえましたが、今は珍しいものではなくなりましたし、若年層の車離れは顕著化しています。
●車のデザインがお飾りに合わない
これは昔の車でも合わなかったような気がするのですが・・
●車の形が変わったので前面に取り付けにくい
実はこの部分がかなり大きいのかもしれません。最近の車は先端がカーブしていて、尚且つ、注連縄をうまくつけるような場所があまりないデザインが多くなっているようです。
車が高額で珍しかった1970年代は誰もが車にお飾りをしていました。
その後、徐々に薄れていき1990年頃にはだいぶその習慣がなくなっているようです(バスやタクシーなどの公共の乗り物では見かけることも)。最近の子供に車のお飾り知ってる?と聞いたら「何それ?ラッピング?」と言っておりました。ちなみに「ポシェット」も通じません。
車のお飾りは減ってしまいましたが、デパートで販売をしている経験上から玄関に飾る「しめ縄」は好調な売れ行きを見せています。もっともデパートに買いに来るお客様は皆女性で主婦の人が大半ですので、独身の人は今も昔も飾る習慣はないでしょうから、このような層にはそもそも人気はないと思われます。
―太陽の神様が隠れないように結界をはったのが由来―
これは天照大神(あまてらすおおみかみ)の神話が由来と言われています。
ある日太陽の神様である天照大神が天岩戸に隠れてしまい、世の中真っ暗になって作物が育たなくなりました。なんとか天岩戸から天照大神を連れ出すことに成功したほかの神様たちが、二度と岩戸に隠れないように(太陽が隠れないように)「しりくめ縄」というものを貼り巡らせたそうです。
これが現在の「しめ縄」の起源と言われています。
地震・干ばつ・台風など災害の多かった農耕民族ならではの日本人らしい発想ですよね。
天岩戸
しめ縄をはった内側は神聖な区域とされていて、そこから悪いものを寄せ付けないという意味があります。
つまりしめ縄には「お正月に年神様をお迎えしやすく」、かつ「悪いものを家に入れない」という2つの意味があるのです。
前置きが長くなりましたが、それでは実際のしめ縄について詳しくご紹介して参りましょう!これからお正月の準備をされる時の参考にしてみてくださいね。
―門やドアに飾る-
しめ縄には、神様のいらっしゃる場所と私達が暮らす場所を仕切る「結界」の役目があります。
しめ縄の「しめ」は「神様が占める場所」をいう意味し、本来なら神様がいらっしゃる全ての場所にしめ縄を飾る必要があるそうです。
そこで、ご家庭でしめ縄を飾る場所ですが、神棚があれば神棚には必ず飾ります。
次に門です。門には「門の神様」天石門別神(あまのいわとわけのかみ・・天岩戸が神格化したもの)がいらして、家に入ってこようとする災難を防いで下さると言われています。神聖な場所なので門にもしめ縄を飾りましょう。
その他、神様が入っていらっしゃいやすいよう玄関の扉、厄除けの意味で台所や水回りになどに、しめ縄を飾って置くと良いと思います。
―飾っていはいけない日があります―
最近では一般的にしめ縄は、クリスマス前後の25日から、28日の間に飾付けるご家庭がほとんどです。
実は正式には12月13日のすす払いの後から28日までの間に飾ります。
師走の風物詩として、古刹のお寺で13日にすす払いをし、新しいしめ縄を付けたという話題が毎年ニュースで流されますね。
注意したいのは飾ってはいけない日があるということ。
29日は「くんち飾り」と言い、9日が「苦」を連想させ縁起が悪いとされます。また31日は「一夜飾り」と言って神様に失礼であるとされています。
一口にしめ縄、しめ飾りと言っても、色々な違いが実はあります。
【しめ縄(注連縄)】
●飾る場所・・神棚、鳥居、拝殿等
藁をよりながら長く編んだもの。大根締め、ゴボウ締め、荒神締め、鼓銅締めなど地方によって少しずつ形状が違います。
前垂注連まえだれ
一般的な注連縄。縄は細く均一に編まれています。
牛蒡注連
拝殿や、神棚などに良く飾る注連縄。
大根注連
牛蒡注連よりも先端に向かってボリュームがあります。
【しめ飾り】
●飾る場所・・玄関、室内のドア
しめ縄に縁起物をつけた豪華なお飾り。縁起物は地方によって違いますが、代表的なものをご紹介します。
・ゆずり葉・・・家系が絶えない
・橙・・・代々から代々繁栄
・裏白・・・葉裏が白いことから隠し事が無い、清廉潔白の意
・御幣・・・水を表し不浄を清めて洗い流す
・扇・・・末広がりの形。一族繁栄
・昆布・・・喜ぶ(よろこんぶの言葉遊び)
・海老・・・腰を曲げた老人の姿を連想させることから長寿
・鶴、亀・・・長生きすると言われていることから長寿のシンボル
【輪〆、輪飾り】
●飾る場所・・室内のドアや台所まわり、門松など
藁が丸く結ばれていて、下はそろえて長く垂らしてあります。しめ飾りの簡略版ですが、最近はあまり使われなくなってきているようです。
(出典:http://www.hanadonya.com/)
松の内が終わるとお正月飾りは取り外します。
松の内は、地域によって違い、主に関東では1月7日まで、関西では15日頃までとする地域が多いようです。
お正月飾りは「どんど焼き」で処分します。どんど焼き、左義長、どんどん焼きなど地方によって呼び名が違いますが、小正月に行われる火祭りの行事で、どんど焼きの煙にのって歳神様が天へ帰っていかれます。
お正月の飾りや書初めを各家庭から持ちよって火にくべ、この火で焼いたまゆ玉団子を食べると1年間健康息災でいられると言われています。
戦前は様々な場所で行われていたこのどんど焼き、消防法の影響で昭和40年代にはほとんど行われなくなりました。
最近になって伝統文化継承の考えで、地域自治体や神社を中心に復活しはじめたそうなのですが、都市部ではどんど焼きを行っていなかったり、当日、お正月飾りを持って行けない時もありますよね。
そんな時の処分方法をお教えいたします。
―家庭ごみとして処分したい時―
基本は地域のゴミ処理方法にしたがって処分します(神様はそんなことで怒ったりしないそうです)。その際には、
・お塩で清めた新聞紙や大きな紙でお正月飾りを包みます。
・出来れば他のゴミとは違う袋にお正月飾りだけ入れて処分しましょう。
しめ縄以外のお正月の縁起物と言えばこのふたつではないでしょうか。
【鏡餅】
●飾る場所・・神棚、床の間、台所、リビング等
古代、銅鏡と呼ばれた鏡は権力の象徴であり神事に使用される神聖なものでした。この鏡をお餅で作り、歳神様へのお供えとします。
【門松】
●門の両脇
昔、神様が宿ると言われていた松を門の両脇に立てて神様が降りてくるのを待ったことが門松の由来と言われています。
私達女性は家族の健康を願って日々行動することが多いですよね。年末になると来年も良い年でありますように、みんなが健康でありますように・・・・そんな気持ちを込めて門やドアにしめ縄を飾ります。
様々な由来や思いがこもっているしめ縄。最近は100均のものから豪華なしめ縄までたくさんの種類がある為、選ぶのに迷ってしまう方も多いかと思います。デパートで売っているデザイン性の高いしめ縄も良いですが(私達が売っていますし!)、実は意外と手作りも簡単にできてしまうのです。
次回の記事では「手作りで簡単に作れるしめ縄レシピ」をご紹介させて頂きます。お子様と一緒にしめ縄の由来を説明しながら作るのも、思い出に残って良いのではないでしょうか。
作り方は、次の記事でご紹介させていただきますね。
意外と簡単!【正月飾り・しめ縄】お正月準備にお子様とぜひ作ってみてください>
Living in Tokyo / floral designer
フラワーエデュケーションという花協会で花の楽しさを伝えています。古くて美しいもの、手作業の心躍る時間が大好きです。
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