パリ郊外にあるランジス市場は、世界最大の卸売り市場です。
その広さは、なんと東京ドーム50個分に相当します。
(生花以外にも生鮮食料品などの卸問屋さんがたくさんあります)
その中に生花部門があるのですが、年間の生花取り扱い量は、
切り花20万本、鉢植え15000個にも及ぶそうなのですが、
ちょっと想像できない量ですよね。
市場に入っている花業者さんが160軒あるというのも納得の数字です。
生花市場内には切花、鉢植え、資材といったカテゴリー別に建物があり、
それぞれの建物がとても広く、たくさんの花問屋さんが入っています。
今回私がランジス花市場を訪れて思ったことは、日本の花市場に比べて
、花問屋さんの数が多いのはもちろんですが、
グリーン類を専門とする問屋さんが多いな、ということでした。
グリーン専門店では、リーフ類はもちろんのこと、
コケや野山に生えているような草のようなものが売られていたりと、
日本の市場ではなかなか見かけない光景でした。
これは、クリスチャン・トルチュ氏をはじめとする、
パリのトップデザイナーたちが考案した「シャンペトルスタイル」というデザインが
最近のパリで流行しているためです。
今までは花材として認められていなかったツタやコケ、
グラミネと呼ばれる穂状の草を、胡蝶蘭やカラーなどの
クラシカルな花材と組み合わせるデザインは、パリの花業界に革命を起こしました。
シャンペトルとは、日本語に訳すと「野生的な」という意味になり、
野山にあるようなナチュラルな素材を取り入れたスタイルのことです。
クリスチャン・トルチュ氏と言えば、
ディオールやシャネルの舞台デザインを手がけたり、
カンヌ映画祭でフラワーデコレーションを担当するなど、
世界で活躍するトップデザイナーです。
このシャンペトルスタイルは、
彼が幼少時代に故郷の田舎を散策したことが、
そのまま発想のヒントになったと言われています。
このように、パリスタイルのアレンジでは、グリーン使いがポイントになります。
枝などはまっすぐなものより、曲がった枝ぶりのものが好まれたりするため、
パリのフラワーデザイナーたちは、自然のナチュラルな枝を探しに野山に出かけたりするそうです。
次回は、ランジス市場Vol.2をご紹介致します。