(出典:http://www.eurasia.co.jp/)
(出典:http://remio.jp/archives/2645)
今日は、私がいつか行ってみたい・・・・と恋焦がれているブルガリアの「バラの谷」について皆さまにご紹介したいと思います。
「バラの谷」はブルガリア共和国のバルカン山脈とスレドナ・ゴラ山脈の間にあります。カザンラク( Kazanlak)を中心としたこの山間の谷が、世界に名だたるバラの生産地であることからこの名があります。
温暖で湿潤な気候と水はけのよい地質がバラの生育に向いている為、谷のあちこちに広大なバラ畑が広がり、精油ようのバラは、ブルガリアの一大産業となっています。
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人々を魅了してきたダマスクローズの物語
バラの谷で収穫されるのは「ダマスクローズ」という品種のバラです。このダマスクローズはとても良い匂いで、高級な香料の原料となります。
「バラの女王」と呼ばれるダマスクローズ、どんなに豪華で美しいバラなのか気になりますよね!ですが・・・実は意外に小さなバラなのです。
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ダマスクローズは精油の原料として優れたバラなので、鑑賞用に品種改良されたバラのような大きくもなく、華やかさもありません。素朴でかわいらしい姿をしています。
それもそのはず。
「オールドローズ」という言葉を聞いたことがあるかと思いますが、ダマスクローズはまさにこの「オールドローズ」に分類される古い品種のバラなのです。
世界中に多くの種類のバラが存在しますが、香料用とされるのは実はたったの4種類だということをご存じでしょうか。ガリガ、ダマスクローズ、アルバ、センティフォリアです。ダマスクローズ、アルバ、センティフォリアはカリガから品種改良されたと言われています。
そんなバラですが、遥か太古の昔、5000万年以上前から地球上に存在していたと言われ、古代から人々はその美しさに魅了されてきました。
有名なボッテイチェリの「ヴィーナスの誕生」では、ヴィーナスが誕生する瞬間に、バラの花が宙を舞っています。この絵でもわかるように、バラは美の女神であるヴィーナスを象徴する花とされ、時代が下ってからは、バラは聖母マリアを象徴する花なりました。
クレオパトラはバラをこよなく愛した言われ、様々なエピソードが残っています。また、ナポレオンの最初の妻、ジョセフィーヌはマルメゾン城に世界中からバラを集め、250種類ものバラを育てていたそうです。そのバラを画家のルドゥーテに描かせたものが、のちに「バラ図鑑」として刊行され、貴重な資料となっています。バラ図鑑に描かれたバラは、絵画やインテリアの図柄として今でもとても人気があります。
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このようにバラは、古代から女性の美しさや清らかさを象徴する聖なる花で、世界中の人々を魅了してきたのです。
ちなみにブルガリアでのバラ栽培は、16世紀頃後半ごろから始まったようです。当時、オスマン帝国下にあったブルガリアに、オスマン人たちがシリアのダマスクで育てていた「ダマスクローズ」を持ち込んだのが、現在のダマスクローズの始まりと言われています。
ダマスクローズは、4月頃から開花し5月に収穫を行います。なんとその期間たったの20日間ほど。しかも、咲いたものよりつぼみの状態の方が、より香りが良いとされているそうです。そんな短期間に世界中で愛されるほどの量のバラを収穫するのです!
バラ農家は、早朝4時頃から家族総出で摘み取りに向かいます。花は今でも手でつみ取ります。そのため、季節労働者も多数やってくるそうです。
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近所の蒸留所に運び込んで蒸された花びらは、蒸留されてローズオイルを採取します。
「香り」は時間が経てばたつほど逃げていく性質があるので、よりフレッシュな状態で蒸留された花びらの方が、香り高いオイルになるのです。
そのため、花が開かない夜明け前から作業が始まり、日が昇るまでの短時間に花は摘み取ってしまいます。まさに時間との勝負ですね。この手間があるからこそ、品質の高いローズオイルを多く作りだすことが出来るのです。
この時期にあわせ、毎年「バラ祭り」が開催されます。カザンラクはじめ、周辺の村々で行われます。観光客が世界中から押し寄せるので、働く人と、観光客とでとてもにぎやかになります。
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谷の至るところで蒸留されるバラによって、収穫期には街中がバラのすばらしい香りで包まれるそう。
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こうして作られた精油やローズウォーターは、世界中に輸出されていきます。
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こちらはカザラク産のローズレモネード。ステキな色です。本物のレモンとローズオットーが入っているそう。バラの谷へ行ったらぜひ飲んでみたいですね。
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ブルガリアンダマスクローズを使って、世界の名だたる一流ブランドも香水を作っています。
グッチの oud
ステラ・マッカートニーが自分の名前を冠した「STELLA」は、ブルガリアンローズを基調とした香り。
資生堂の最高級ラインの香水「ホワイトローズ」にも。
(出典:http://www.shiseido.co.jp/)
「バラの谷なくして香水の名品は生まれない」という言葉があるように、世界の7割以上の香水はこのブルガリアのバラで出来ています。
収穫時期は村全体がローズの香りでいっぱいになる・・・・・もう想像しただけで私はうっとりです。私もいつの日か収穫祭に参加しながら思う存分世界最高のバラの香りを楽しんでみたいなあと思います。
私がいつかは行ってみたい!と心から願っているバラの谷のご紹介でした。