電子書籍「フラワースクールで生きていく」
実はこの電子書籍、当初ブログで「花講師への道シリーズ」という題名で書いていたものが書籍となりました。
新サイトOPENに向けて公開予定で温めていたブログ記事でしたが、「面白いので電子書籍にしましょう」とお声をかけていただき、実現したものです。
今でしたらLINE@にご登録いただいた方全員にiBooks 版・honto版を無料プレゼントしております。まだお読みでない方はこちらをご覧くださいませ。
http://flowereducation.net/ebook
色への理解
フラワーアレンジメントをデザインする時、どんな色を組み合わせたら素敵になるか、皆さん日々研究されていることと思います。
色の使い方に正解はありませんし、自由に好きなものを選ぶのが一番楽しいと私は思っています。
でもデザインをするにあたり「色の使い方」はかなり重要な要素をもつことも事実です。色の使い方が良ければ褒められますし、センスが悪いと垢抜けません。
特にお花の初心者の方は色の組み合わせで最初悩むことが多く、私たちの所へも多く質問が寄せられます。
本当は、自由に好きな色を使ってください!とお伝えしたいところですが、初心者の方のために、本日は色の組み合わせのコツをご紹介したいと思います。
非常にベタではりますが、まずは色の仕組みからご説明させて下さいね。
色は3つの要素から成り立っています
色は、実は3つの要素から成り立っています。
色と一口に言っても、赤があり青があり、同じ色でも明るかったり、暗かったり、鮮やかだったり、濁っていたり・・。
極々あたり前のことなのですが、こうした様相は『色相』『明度』『彩度』という3つの言葉に区分され、その3つをまとめて『色の三大属性』と呼びます。
(出典:http://santabarbaraschoolofmosaicart.com/)
次の章では、三大属性について、一つずつご説明してまいります。
色を区別する属性
まず最初は『色相』についてです。
色相とは色の違いや性質を挿す言葉です。
黒、白、グレーは無彩色と呼ばれ、色相には含まれません。それ以外の可視光線という、人の目で見ることが出来る、赤、黄、緑、青、紫といったそれぞれの性質を現わすのが『色相』です。
(出典:http://www.theartfuldesperado.com/)
色相は、青、緑、紫と区切られている訳ではありません。なだらかに連続しながらそれぞれの色は繋がっています。
色の明るさをあらわす明度
明度とは、色の明るさを意味する言葉です。
(出典:https://vloblive.wordpress.com/)
上の白~黒のグラデーションを参考にすると、白は「明度が高い」、黒は「明度が低い」ということになります。
上の明度グラデーションにカラーをあてはめるとこんな風になります。
同じ「色」でも、左端と右端では、ずいぶん印象が違いますね。
(出典:http://handdyedfabrics.com/)
私たちがアレンジメントデザインを考える時、色相の次に意識するのがこの明度だと思います。
「元気が出るような明るい黄色系の花を多めにしよう」とか、「エレガントに見えるように落ち着いた暗めのピンクを使ってみよう」など、アレンジメントのイメージを決める重要なポイントになります。
色の鮮やかさを現わす彩度
彩度とは、色の鮮やかさを挿す言葉です。
(出典:http://livelaughlois.tumblr.com/)
白、グレー、黒がまったく混じっていない色を「純色」と言います。この純色が「彩度が高い」状態で、逆に白~黒が多く混じっているほど「彩度が低い」状態になります。
(出典:http://www.digital-intermediate.co.uk/)
上の図で言えば、左端は純色で、色の純度、彩度が高い状態です。右端に近づくほど、純度、彩度が低くなります。右端のような色のことを「パステルカラー」と言います。逆に、純度の高い左端のカラーは「ビビットカラー」と呼びます。
(出典:http://i.imgur.com/Mrn69ut.jpeg)
ビビットカラーとパステルカラーでは、アレンジメントの印象もずいぶん違います。
販売にしろレッスンにしろ、ターゲットとするお客様の層に合わせて彩度を使い分けても良いですし、またはそれぞれのトーンをうまく混ぜて、メリハリのある色使いが出来るようになれば、更にステキなアレンジになりますね。
さて、色相、明度、彩度について学んできましたが、ここでより実践的なシーンで使える『カラーチャート』をご紹介いたします。
カラーチャートは、日本語に訳すと「色相表」と言います。
(出典:http://www.colortools.net/)
この色相表をサークル状にして関係性をより明確にしたのが『色相環』です。
色相環
(出典:http://milkpoo.deviantart.com/)
美術の授業などで、一度はご覧になったことがあると思います。
(出典:https://lipshipsandfashiontips.files.wordpress.com/)
円型になっているので色の関係性をパッ見やすい色相環。手元に置いておいてアレンジ作りに迷った時、参考にしている方もいらっしゃいます。
フラワーアレンジ色合わせのコツ
それでは、お花をはじめたばかりの人のための「失敗しない4つのコツ」を ご紹介いたします。
一番無難なのは同色系の花を使うことです。オレンジの濃淡といった具合に。ただそれは極あたり前のことで、どなたでもご存じかと思います。それ以外で絶対に失敗のない色合わせがあります。
それはカラーチャートの隣同士にある色の組み合わせです。
具体的にご紹介しましょう。
ピンク&パープルの組み合わせ。
色相環を見ていただくとわかりますが、ピンクの隣りには紫がありますね。
これら2色の組み合わせの例が上記のアレンジになりますが、品の良いカラーグラデーションになりました。
次はイエロー&グリーン。
ピンク&レッド
(出典:https://www.insideweddings.com/)
パープル&ブルー
このように、隣同士の色合わせは、少しだけ色がかぶっていて、それでいて変化があるので深みもあり、まとまりやすいのが特徴です。
お花初心者の方は、ぜひトライしてみて下さい。
次は、少し上級者向けのテクニックです。サークルの丁度反対側にある色(補色と言います)を合わせていきます。
グリーン&レッド。
淡いオレンジとパープル。
ピンク&グリーン
ブルー&オレンジ
(出典:http://www.stylemepretty.com/)
補色は思い切った色合わせになるので、最初はちょっと勇気がいるかもしれません。
ですが上のアレンジを見ていただいてわかる通り、補色はとても魅力的な色合わせです。こなれていてセンスが良い、と言った感じでしょうか。
いつも同色系ばかりという方は、アレンジに変化を与える為に取りいれてみてはいかがでしょうか。
インテリアやお洋服で流行している色合わせを使うというのも実は手です。
普段私たちが何気なく目にしている雑誌にも色合わせのヒントがいっぱいつまっています。こうした雑誌やネットで最近流行している色合わせをアレンジに持ってくるのもお勧めですよ。
3つのパターンを例にご紹介していきます。
例えばピンクとグレーの組み合わせ。甘さとクールさのバランスがほど良い洗練された色合わせです。
ピンクのローズにグレーのリボンやオーナメントを合わせれば、オトナな雰囲気の中にガーリーさが残るアレンジになりそうです。
(出典:http://shopruche.tumblr.com/)
(出典:http://www.careergirldaily.com/)
(出典:http://blog.jelanieshop.com/)
(出典:https://www.bloglovin.com/)
(出典:http://www.stylemepretty.com/vault)
(出典:http://theeverylastdetail.com/)
(出典:http://www.harmonyminds.de/)
さわやかな青×白は清潔感の代名詞。誰からも好かれる色合わせです。
(出典:https://m.sumally.com/p/1252498)
(出典:https://sumally.com/p/1274457)
(出典:http://www.rakuten.co.jp/kabegamiyahonpo/)
(出典:https://www.bloglovin.com/)
(出典:http://www.intimateweddings.com/)
(出典:http://whimsicalwonderlandweddings.com/)
(出典:http://greenweddingshoes.com/)
今年の流行色、カーキ。単色だとちょっと無骨ですが、白とピンクをプラスするとガーリーな雰囲気に早変わりします。
(出典:http://www.afashionloveaffair.com/)
(出典:http://www.afashionloveaffair.com/)
(出典:http://www.kalynskitchen.com/)
(出典:http://www.brit.co/)
(出典:https://jp.pinterest.com/)
(出典:http://zsazsabellagio.blogspot.jp/)
皆様はこの本ご存知でしょうか?
『フランスの配色』『フランスの伝統色』『日本の伝統色』
きれいな写真や絵画をもとに、それぞれの色と名前が説明されています。
フランスらしい美しい色合わせや、伝統的な和風の色合わせを見ていると、アレンジメントのイメージがきっとわいてくると思います!
色合わせの参考にしていただくことはもちろん、「フランスの配色」の中では、本の中で引用されている作家や作品の色使いの特徴について触れられているので、読み物としても面白く、お気に入りの作家の作品を、色という側面からひも解く楽しさがあります。
「日本の伝統色」では、使われている色の名前が自然に由来するものばかりだということに気づき、自然と共生していた頃の日本人の感性の豊かさに感服されることと思います。
最近では、かなりの本を電子書籍として読む機会が多いのですが、これらの本は実際に手にとって何度も眺めていただきたい1冊です。
(出典:http://margheworld.tumblr.com/)
いかがだったでしょうか?
色には流行があり、こちらでも流行色をご紹介しています。
<2016年の流行色は初めて2つ選ばれました ジェンダーレスって?
<2014年の色 Radiant Orchid(ラディアント オーキッド)
色合わせにはその人その人の個性が出ます。各自「好きな色」がありますから、その好みに影響されるのです。
好きな色を作品に思い切り取り入れて自分の世界を築いて行くのも良いですし、変化球として上記のような流行色をだまには取りいれて見るのも話題性があって良いと思います。
いずれにしても、色彩の基本的な構造や、色合わせの持つパワー、失敗しない合わせ方を知っていることは大きな力になります。ぜひ積極的に取り入れていただき、センスアップに繋げていただければうれしいです。
私は今まで比較的渋めの色が好きだったのですが、最近はクリアで明るい色に惹かれるようになってきました。歳を取ったからでしょうか?!