緑多きシンガポールの背景にはマレーシア連邦からの分離・独立という歴史がありました。一切の天然資源がない貧しい国が緑化を推し進めることは「海外から信頼される国作りに必要だった」だったのです。
シンガポールはこの緑化政策が大成功し、「ガーデンシティ」として安全・清潔・トップレベルの緑の国、というイメージを世界中に広めることができたのです。
想像以上に緑があふれているシンガポール
2月にシンガポールに行きました。行かれた方はご存知かと思いますが、シンガポールは大都会なのに大変緑が多い国です。この街を歩いていると想像以上の緑の多さにびっくりします。どこにいてもたくさんの緑に触れることができのです。
でも単純に緑が多いのではありません。緑化空間のセンスが良いのです。
どうしてこんなに緑が多いのだろう それはこの国の歴史と深く関係がありました
シンガポールは国土の1/3が緑で、子供の数と同じだけ植樹をしているそうです。この緑化を始めたのがシンガポール初代首相のリー・クアンユー。
資源の無い小さくて貧しかった国にたくさんの外資を誘致し、アジアの中でも抜きん出た国家を作りだしたのがリー・クアンユーです。シンガポールは独立国。独立に至る経緯は書くと長くなってしまうので省略しますが、簡単にまとめるとこの国は独立する1965年までに大きな試練を体験しています。
最も大きな試練はマレーシア連邦からの事実上の追放です。これによりシンガポールは独立という道をたどり、若きリークアンユーが初代首相となりました。この後、住民に雇用を増やしインフラを整えTOP先進国までに成長させたことはあまりにも有名です。
シンガポール博物館。独立会見時のリークアンユーの涙がとても印象的でした。
緑多きシンガポールの背景にはマレーシア連邦からの分離・独立という歴史がありました。一切の天然資源がない貧しい国が緑化を推し進めることは「海外から信頼される国作りに必要だった」だったのです。
シンガポールはこの緑化政策が大成功し、「ガーデンシティ」として安全・清潔・トップレベルの緑の国、というイメージを世界中に広めることができたのです。
どうやって緑化を進めていったのか?
海外から信頼される国作りの為に国策としてとられたシンガポールの緑化計画。
・植物に関する徹底した研究と維持管理
・緑を取り入れた建物を建てると政府から最大50%の援助
・国内外からの植物の選定(太陽が当たらなくても育つ植物等も選定されている)
・スコールに耐えうる土壌の開発
・街路樹の樹木のデータベース化
・年に一度の植樹の日
・植物に対しての国民の徹底したルール(法による厳しい緑の保護規制)
ここには書ききれないほどの緑化のための国策があり、こうして美しい緑の国シンガポールが出来上がったのです。
つかの間の滞在でしたが、トップレベルのこの緑の国にきてみて、自然が人にどれだけ心地よい刺激を与えてくれるかを改めて実感しました。綿密なプランによって緑あふれる場が築き上げられたシンガポール。たくさんの木々の中にいると安らぎますし、心からホッとします。
大きな木々を見上げて歩いていると、自然と背中が伸び生きている実感がわいてきます。それが国家的な戦略であろうと、植物が近くにあると人は幸せになる、そう改めて思ったシンガポールの滞在。
日本ももうすぐ新緑の季節に入りますね。私の一番好きな季節がやってきます。