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こんにちは。
フラワーエデュケーションジャパンの岡村です。
今回は、前回「【お断り文例集】生徒様・お客様への正しい断り方/前編」に引き続き、生徒様やお客様への角が立たない^^;お断り方についてお話しします。
せっかくのオーダーやお誘い、できれば全部お引き受けしたいですよね。
でもどうしてもできない場面が必ず訪れます。
ですがそういった場面の対応にこそ、お教室の本質が浮き彫りになってしまいます。
だから「お引き受け」する時よりも、「お断り」する時の方が、何倍も緊張するんです。
そこで今週も、前回に引き続き、生徒様やお客様への正しい断り方をご紹介します。
「断り上手」これはレッスンのみならず、販売の場面でも少なからず必要になるスキルです。花の仕事に携わる先生方はぜひご覧ください。
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『【お断り文例集】生徒様・お客様への正しい断り方/後編』
その1)クレーマーさんからの無茶ぶりに対する正しい断り方
その2)花嫁様からのちょっと変わったブーケオーダーの正しい断り方
その3)生徒様からのプライベートなお誘いへの正しい断り方
こちらはダイジェスト版になりますが、ぜひご覧下さいませ!
その1)クレーマーさんからの無茶ぶりに対する正しい断り方
「あの人を辞めさせないなら裁判起こしますよ」
多分一生忘れることができないお電話だと思います(笑)
当時はまだ私も若く経験が浅かったこともあり、この方の対応には大変苦労したことを憶えています。
辻褄の合わない言い分と、脈略の無い攻撃的な言葉に心を削られながらも涙、できるだけ正確にその内容を書き止め、何度も虎ノ門(弁護士事務所)に通いました。→これ本当に長くなるので(笑)もし興味がある方がいらっしゃったらいつか書きたいと思います^^;
ですが、長くこの仕事をしていますが、クレーマーと言われる方に遭遇したのは、これを含めてほんの数件です。
それも、対応している時には相手にご理解いただくことに夢中で気づけないのですが、終わってみて「すごいクレーマーでしたね」とまわりに言われて気づいたという事が多いです。
単純に私が鈍いだけかもしれませんが(笑)
ですがこれってよくないんですよね。相手がクレーマーかどうかは、早い段階にわかっておかないと、対処が後手後手になり劣勢になりかねません。
冒頭の方の際にも、最初からそうわかっていれば、もっと上手く対処できたのだと思います。
ですから、クレーマーの特徴をある程度把握しておくことは、いつの日か遭遇した時に大変役立ちます。役立つ日が来ないのが一番いいのですが、でも念の為に皆さんも憶えておいてください。
◇クレーマー特徴①高圧的、感情的
「言い負かしてやる」という攻撃的な姿勢で臨まれてくるので、言葉に沢山の棘を仕込んできます(笑)。
(驚き過ぎてうっかり鵜呑みにするとダメージが大きいので要注意(涙)
最初は冷静な声音でも、徐々にヒートアップして、自分でも感情をコントロールできなくなってしまうのかもしれません。
◇クレーマー特徴②会話が設立しない
「何がなんでも自分の意見を通す」という強い気持ちで、自分だけの正義を盾に、自分が信じる正論をぶつけてきます。
端から相手の意見を聞く気はありません。ですから解決に向けて建設的に対話をする事よりも、自分の意見を通すことに夢中なので、会話が全く成立しません。
◇クレーマー特徴③無理難題を要求
「気に入らないから交換して」「受講したレッスン代を返金して」など、到底受け入れられない無理難題を要求してきます。
こういった方の大半は、自分でも無理だとわかっているが、もしかしたら…という僅かな可能性にかけて、ふっかけてくる場合が多いそうです。
以前百貨店のバイヤーさんが教えてくれたのですが、こういった方は以前どこかでクレームの成功体験があり、味を占めて同様のクレームを繰り返すんだそうです。
他にもあると思いますが、ざっとわかりやすい特徴はこの3つだと思います。
それでは、そんなクレーマーさんからの無茶ぶりサンプルをご紹介します。
〇〇様
先日の体験レッスンで作ったアレンジメントですが、自宅に帰って飾ってみたところ、先生が言っていたようには素敵に見えませんでした。
家族にもよくないと言われたので、返品します。
受講料も返金してください。
突っ込みどころが満載ですが(笑)、これはクレーマー特徴③と、もしかしたら②にも該当するタイプの方ですね。
ご家族の下りは一番理解に苦しみますが、きっと自分の中では「そう言っているのは自分だけじゃない」と正当性を訴えているのでしょう。
ですが、成人している大人が自分の意思で申し込み、レッスンを受講し、作品を持ち帰っているのですから、このご要望を受け入れる必要は全くありません。
この場面でのお断り方で大切なポイントは4つ★
ポンイト1)
即却下しない→常識で考えれば即却下してもいい内容だと思いますが、「それはできません」と言って理解してくださるような方なら、そもそもこんな非常識な事は言ってきません。
最初から頭ごなしに否定してしまうと、自分の言い分が通らないと興奮してしまう可能性がありますので、まずは相手の言い分を理解したことを丁寧にお伝えします。
ポイント2)
お断りする理由説明→どうしてそのご要望を受け入れることができないのかを、丁寧にご説明します。100人が読んだら100人が納得する理由を説明をしないと、第二・第三の追撃が待っていますので、こことても重要です!
ポイント3)
代替案→この無茶ぶりに代替案?!と驚かれるかもしれませんが、代替案が必要なんです。ただここで大切なのは[相手が得をせず、自分も損をしない]妥協点を提示するということです。
クレーマー特徴③で書きましたが、これで得をして再度同様の言いがかりを付けられたら大変です。ですから、この代替案については、慎重に検討します。
ポイント4)
丁寧にお詫び→たとえ「いやいや普通に考えて無理ですよね;_;」と思っていたとしても、ぐっと堪えてください。沢山あるお教室の中から、ご自身のお教室を選んで、大切な時間を使ってレッスンにお越し下さったことには変わりありません。また結果的にご本人とご家族の皆様にご満足いただけなかったことも間違いありません。
ご自身を必要以上に卑下する必要はありませんが、ご満足いただけなかったという結果に対しての謝罪は有って然るべきだと思います。
それでは、このポンイト4つを抑えた模範解答をご紹介します!
こんにちは。
フラワーエデュケーションの岡村です。
先日はレッスンにお越しいただきまして誠にありがとうございます。
はじめてとは思えない手際の良さで、お見本通りに仕上げていただき、とても嬉しかったです。
ですが〇〇様とご家族の方にご満足いただけなかったとのことで、誠に申し訳ありませんでした。
花は飾る場所によって表情が変わることがありますので、ご自宅の雰囲気に合わなかったのでしょうか。
とても綺麗に作りこんでくださっていたので、私も大変残念です。
然しながら、今回は作品のデザインを気に入ってお申込みいただき、ご制作にあたって花材も全てお使いになられました。また講師も予定通り1時間半ご指導させていただきましたので、大変申し訳ありませんが、レッスン料をご返金することはできません。ご要望にお応えできず大変心苦しいのですが、ご理解いただけますと幸いです。
ですがもし宜しければ、〇〇様やご家族の方がご希望する色の花に差し替えることは可能です。別途花代と手数料はかかってしまいますが、ご自宅のイメージに合った色をお選びいただけます。
とても綺麗にお作りいただきましたので、ぜひご検討くださいませ。
この度は数あるお教室の中から、当スクールにお越しいただきましたのに、ご満足いただくことができず、本当に申し訳ありませんでした。
もし花のお色変更について、ご質問やご相談などございましたら、いつでもご連絡ください。
今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。
フラワーエデュケーション 岡村
こんな面倒な文章を考えるくらいなら、レッスン代を返金して、この方と縁を切りたい!と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、個人で仕事をしている方は、できるだけ敵を作らないというのはとても大切な事なのです。
例えば、自分は間違っていないと思って発信した言葉でも、相手の背景や立場、生格その時の感情などで、受取り方は全く変わってきます。
以前「これは私が謝った方がいいですか?」と、ある先生に相談された事があります。その先生はとても正義感の強い方で、人生経験も豊富、トラブル対応にも慣れていらっしゃいました。それだけに、その時自分が間違えていないことを理解していたので、謝るのはおかしいと考えていたのだと思います。
ですが私は「謝った方がいい」とお伝えしました。先生にとっての正義は、全ての立場の人にとっての正義ではありません。正論で押しても、相手が納得していなければ最悪の場合、悪評を広げられてしまう可能性だって考えられます。
それでも自分の意見は曲げたくないという強い信念がある場合は別ですが、長くお教室を続けたいのであれば、不快な気持ちにさせてしまった事実に対してだけは、お詫びした方がいいと思います。
「負けるが勝ち」という言葉がありますが、長く仕事を続けていると、そんな場面が何度か訪れます。悔しく感じてしまうかもしれませんが、謝罪することは、相手に屈することではありません。
今回の返信のように、全面的に非を認めるのではなく、できないことは丁寧に理由を添えてお断りして、謝罪する気持ちもきちんとお伝えできるといいかなと思います。
その2)花嫁様からのちょっと変わったブーケオーダーの正しい断り方
こちらのテーマの続きは本編でご覧ください。
(本編ではこちらの2テーマに加えて、更に1つのテーマについて解説しています。続きは、本編にてどうぞご覧ください^^)