皆様もご存じのターシャテューダー。
日本でも写真集がシリーズで発売され、一度はご覧になった人も多いのではないでしょうか。
(出典:http://lovehomeandhealth.com/)
先日の記事「バラの谷」に続いて、私がいつかは訪ねてみたい・・と思っているバーモント州にあるターシャテューダ―の庭。今日は彼女の素晴らしい庭についてご紹介いたします。
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ターシャ テューダー(Tasha Tudor 1915年8月28日~2008年6月18日)
(出典:http://www.tashatudorandfamily.com/)
ターシャは1915年8月28日、アメリカ北東部マサチューセッツ州ボストンの生まれです。
私達日本人は、ガーデナーとしたのターシャのイメージがとても強いのですが、彼女のもともとのスタートは絵本作家でした。
両親ともに名門の出で、裕福な一家に生まれ育ったターシャですが、華やかなことを嫌い、ティーンエイジャーの頃から牧畜や、画家であった母の影響を受け、絵画に興味を持つような少女でした。
両親の離婚をきっかけにコネチカット州レディングに移り住みますが、自然豊かなこの土地での暮らしをターシャはとても気に入っていたそうです。
(出典:http://www.missmoss.co.za/)
デビュー作は1938年に刊行した『パンプキン・ムーンシャイン』(Pumpkin Moonshine)。主人公のシルヴィー・アンが、ハロウィンのかぼちゃ用に、畑の中で一番立派なかぼちゃを探しに行くという、とても愛らしい作品です。
ターシャはとても長生きだったので、生涯で100冊近い本を描いたそうです。
有名なマザーグースや若草物語の挿絵も実はターシャが描いているので、ターシャ作だとは知らなくても「あれ?この絵知っている」と思う方が多いのではないでしょうか。
(ターシャの絵本は数々の栄誉ある賞を受賞しています)
そんなターシャがガーデナーとしての側面を持つようになるのは、実は50歳をゆうに過ぎてからのこと。
1972年、57歳の時にバーモント州マールボロの30万坪の広大な土地に移り住みます。
「コーギーコテージ」と呼ばるこの土地で、ターシャは庭造りに没頭しながら、自給自足に近い生活を始めることになります。
アメリカでは著名人だったターシャが実践する前時代的な暮らしぶり(服装までも)と美しい広大な庭は、やがてメディアの知る所となり、ガーデナーとしての名を馳せていきます。
92歳で亡くなるまで、以後この土地にターシャは住み続けることになります。
訪問できるのはターシャの言う、輝ける季節の1か月間のみ。そんな広大なターシャの美しい庭を訪れたいという人が増えてくるのは当然のこと。
ですがターシャ自身が「輝く季節」と呼んだ、庭が最も美しい6月以外に、人々の訪問は許しませんでした。
それも週末のみですから、年に数回ということになります。
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ターシャが亡くなった今でも、実はお庭は公開されています。現在でもお庭は限定公開ですが、多少期間が変更になり、7月、9月、10月にこの庭を訪れるチャンスがあります。
バラやしゃくやくの咲き乱れる「輝く季節」はさぞ美しいと思いますが、日本人の私達はつい、秋の紅葉の季節はどんなにステキだろうと、ターシャの生前の思いとは裏腹に思ってしまいます。
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ターシャのコーギーコテージは公開時期が決まっていましたが、同時に人数にも限りがありました。
その為に、お庭を訪れるためにはチケットが必要だったのですが、その年の分が発売されるとすぐに売り切れてしまうプレミアチケットだったようです。
ターシャがまだ元気だった頃は、ガーデンツアーの中で実際にターシャが出てきて説明をしてくれたり、お茶を飲んだりということもあったようです。ターシャが体調を崩した後からは、彼女を支え続け、コーギーコテージを建てた息子のセスがターシャについて語りながらツアーガイドをしています。
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ターシャの庭は、残念ながら撮影禁止。
ターシャがご存命だった頃も、現在でもそれはかわっていません。
ボストンから車で約3時間の山の中にターシャの庭はあるので、写真撮影禁止というのは日本からわざわざこの為に訪れた人にとっては、かなり残念なところですが、ターシャの生き方に魅力を感じ、この場所を訪れる人にとってはあまり問題ではないのかもしれませんね。
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子供の頃から自然や庭造り、牧畜などに慣れ親しんでいたターシャは、本格的な庭造りに没頭する為に、バーモント州のこの地に移り住みました。
コーギーコテージと呼ばれるメインハウスは、息子セスさんの手作りです(彼は家具職人)。
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この自宅でターシャは、19世紀の農村のシンプルな生活様式をお手本に、水道も電気暖房もない家で、暖炉や薪オーブンを使った生活をしつつ、4人の子供たちを育てました。
このキッチンで21世紀までお料理をしていたんですね。赤毛のアンの世界です。
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バスケット作り。
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何を煮ているのかと思ったらキャンドルを手作りしています。色からして蜜蝋キャンドルだと思います。
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こうした生活の中で、彼女はまるで、自分の暮らしそのもののような絵を描き続けました。
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そんなターシャが欠かさなかった習慣が、午後のティータイムだったそう。
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丹精込めた自分の庭の四季を眺めながらいただくお茶はどんなに美味しかったことでしょう。
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なんでも便利で簡単に済んでしまう今の時代。
この時代の恩恵を受け、清潔で安全な暮らしに私は感謝もしています。でもなぜ私はターシャのような暮らしに憧れてしまうのでしょうか。
少しくらい不便でも美しい景色を見ながら生きていきたいなあと思ってしまうのです。
植物や動物、限りある命のそばで日々を生きていくこと、それがこの世で一番美しい。ターシャの庭を眺めていてそんな風に思うのでした。