本日はプリザーブドフラワーをあまりご存知ないという方のために、改めてこの花をご紹介したいと思います。 初めてこの花に触ります、という方はぜひ参考にしてみて下さいね。
プリザーブドフラワーは、生花に特殊な加工を施して、長期間生花同様の美しさとみずみずしさを楽しめるようにしてあるお花です。
最近では母の日ギフトやウエディング、仏花等さまざまなジャンルで見かけることが多くなりました。 プリザーブドフラワースクールも増え、プリザーブドフラワーアレンジメントを楽しまれる方も増えています。
プリザーブドフラワーには茎がありません
生花とプリザーブドフラワーのアレンジメントの違いは何か?
一番大きな違い。それは、生花には茎がありますが、プリザーブドフラワーには茎が無いということです。
プリザーブドフラワーアレンジメントでは、茎部分をワイヤリングというテクニックで補わないといけません。 その為、プリザーブドフラワーに絶対に欠かすことのできない必須のテクニックといえば、「ワイヤリング」の技術となります。
ワイヤーの扱いが一通りできないと、アレンジ自体を作ることがとても難しいのです。 そこで本日は、この「ワイヤリング」のテクニックを詳しくご紹介させていただきます。 ぜひプリザーブドフラワーアレンジメントの教科書としてご活用ください。
プリザーブドフラワー、どんな風に売ってるの?
通常、プリザーブドフラワーはこのような容器に入って売られています。
身近なところではユザワヤさんに置いてありますね。
花びらの質感ややわらかさなどは、生花とあまり変わりません。
横から見ると…生花とは違う部分があります。それは、 茎が無く(花の一番外側で、花全体を支えている)茎の色が緑色ではないといことです。
花首より下の茎がない理由
それは、プリザーブドフラワーになる花はもっとも美しい状態の時に茎から刈り取られるからです。 刈り取られると、すぐに水分や樹液を抜きとり、有機物と着色料から成るプリザーブド溶液に浸されます。
その為、ガクを含めた花全体が同じ色になっているのです。 ただし、メーカーにより製法は異なります。
(出典http://www.fforest.com/Institute.html)
プリザーブドフラワーは自分で作れないの?
「お庭にある花をプリザーブドフラワーにしたい」というお問い合わせを時々頂きます。
上手にできるかわかりませんが、個人でも作れる液体キットが販売されていますので一度試してもいいかもしれません。 プリザーブドフラワーを作る方法は3種類ほどありますが、本日は市販の溶液を使用する方法をご紹介致します。
(メーカーにより使用方法が多少異なりますのでご注意ください)
<液体キットを使ったプリザーブドフラワーの作り方>
(出典 http://www.rakuten.ne.jp/gold/reve-flower/)
以上は花の加工ですが、グリーンの加工は『簡単溶液』を使用します。 一輪挿しのようにグリーンを挿し溶液を吸収させ、そのまま放置。
名前の通り簡単です。数時間~数日置かなければいけませんが、工程が少ない為、比較的簡単に加工が楽しめます。
(出典http://hanadaigaku.blog68.fc2.com/blog-entry-102.html)
実は昔、私も作ったことがありまして…着色を失敗するとバラがレインボーカラーになってしまったり、乾燥が上手くいかないと湿り気のある花びらになってしまったり。随分失敗しましたけれど、とても面白かったです。フラワーアレンジというより、化学の実験のような感じです。
ご自身でプリザーブドフラワーを作られても、市販のプリザーブドフラワーを購入されても「茎」が無い状態は同じで、作品を作る時は「ワイヤー」を花首にかける作業が必要となります。
そこで本日は、基本のワイヤーテクニックをご紹介したいと思います。ブーケを作る時のワイヤリング技術や、細かな上級テクニックについては本講座でお伝えしていますので、まずは簡単なものをご紹介致しますね。
プリザーブドフラワー ワイヤーの種類
ワイヤーには、裸ワイヤーと地巻ワイヤーの2種類があります。
太さは様々ですが、ローズは#24の裸のワイヤー、リーフは#24グリーンというワイヤーを基本として使用します。この2種類があれば、大抵のものは作れます。
●裸ワイヤー
裸ワイヤーは、#14~30までの太さがあり、花材に最適な太さのワイヤーを使用します。よく使う太さは#22、#24です。
紙が巻かれていないので、裸ワイヤーと呼ばれています。
●地巻ワイヤー
地巻ワイヤーには、ホワイト、グリーン、ブラウンの3色があります。#18~#30までの太さがあります。花材の色によって、ワイヤーの色を変えて使用します。
花材へのワイヤーのかけ方は?
【バラのワイヤーのかけ方】
◆クロスメソッド◆
1本目のワイヤー#24を必要な長さで先を斜めにカットして、茎(軸)または少しふっくらとしている子房に挿します。 ワイヤーを回転させると挿しやすくなります。
直角に挿した1本目のワイヤーと茎の真ん中あたりで十文字になるようにし、2本目のワイヤーを挿します。 2本のワイヤーが同士が近すぎるとクロスする際に途中でぶつかってしまいますので注意して下さい。
挿したワイヤーは左右の長さがだいたい均等になったところで折り下げます。 4本のワイヤーをねじったり、束ねたりすると、サハラの穴が大きくなり花が抜ける原因になりますのでご注意ください。
【カーネーションのワイヤーのかけ方】
カーネーションもバラと同様クロスメソッドですが、ワイヤーを挿す位置が異なります。 カーネーションの茎は繊維質でとても硬いので、ガクのすぐ上あたりにワイヤーを挿します。 後は、バラと同じです。
【葉のワイヤーのかけ方】
◆ヘアピン◆
地巻ワイヤー#24を使用します。 葉を裏側にして、葉の中央やや下あたりを、1目縫うように裏から表、また裏へと挿します。
ワイヤーを折り下げます。
ワイヤーの一方で、もう一方の葉柄を2~3回巻きます。
巻き付けたワイヤーをもう一方のワイヤーに沿わせて完成です。
【アジサイのワイヤーのかけ方】
◆ツイスティング◆
アジサイや小花、葉をまとめる時などに使われます。 地巻ワイヤー#24を二つ折りにしてUピン状にします。
Uピンにした一方のワイヤーで、もう一方と茎を2~3回巻きます。
巻き付けたワイヤーをもう一方のワイヤーに沿わせて完成です。 他にもいろいろとありますが、よく使われる基本的なワイヤリングのご紹介でした。
セックに挿す時の注意点は?
実際にサハラ(セック)に挿す際の注意点もお伝えしたいと思います。 ワイヤリングしたお花は、花器の高さ、入れたい場所で調節しワイヤーは長ければカットします。
挿す時は、ワイヤーが束にならないように挿しましょう。ワイヤーをねじったり、フローラルテープでまとめる必要はありません。
まとめるとサハラに大きな穴ができてしまいますし、4本それぞれサハラに挿さると、抜けにくくなります。
次はリーフです。ワイヤリングしたリーフは、ワイヤーが通っている箇所は折りやすくなります。
入れたい場所にあわせて、折り曲げてもいいですね。
以上がサハラに挿す時の注意点です。完成アレンジはまた次回ご紹介致しますね。
ワイヤーをカットする時の注意点
置き型のアレンジメントですと、ワイヤーは半分にカットして使うことがほとんどです。斜めにカットするくせを最初につけてしまうと、わざわざ切りなおす必要がなく、常に尖った状態ですので楽ですよ。
切り過ぎてしまった場合は、ワイヤリングをやり直す必要はなく、残ったワイヤーにツイスティングすることで長さを出すことができます。
生花とは違うプリザーブドフラワーの良いところですね。
気を付けていてもワイヤーはカットするとワイヤーの端があちこちに飛んでしまいます。リビングなどご家族が集まる場所等で製作される場合は、大きな箱の中でワイヤーはカットするなど工夫が必要です。お子様がいらっしゃるご家庭では特にご注意くださいね。
おわりに
基本のワイヤーのかけ方が分かると、市販されているプリザーブドフラワーで様々なアレンジメントを作ることが可能です。
今回のテクニックを応用できるようになると、流行しているアーティフィシャルフラワーのアクセサリーを簡単に作ることができるようになります。
アクセサリーやアレンジメントが自分で作れるようになると、お友達へのちょっとしたプレゼントもさっと作れるようになりますし、バザーなどでも大活躍します。
是非みなさまの作品作りにお役立て下さいね。