プリザーブドフラワーを扱っていると気になる大きな2つの問題があります。
それは「花の色移り」と「湿気」。
プリザーブドフラワーはその特性上、色移りと湿気は避けられません。ですが実際の所、色移りはどのくらい起こるものなのか、湿気がどんな問題を引き起こすのか、意外と知らない方が多いように思います。
そこでこの2点を検証して、どのような解決法があるのか考えてみましたので、皆様にもシェアしていきたいと思います。
前編:花の色移りについて
前編では、花の色移りについてです。
まずはじめに花と資材の色移りがどのような状況で起こるのか実験をしてみたいと思います。用意したのはこちらです。
左から:
白ローズ・緑アジサイ・赤カーネーション・黒アジサイ・白ローズ・プリザーブドリーフ(ヘデラ)・赤カーネーション・アートリーフ・白ローズ・リボン(サテン)、赤カーネーション・コットンパール(見えにくですが)・白ローズ、赤カーネーションです。
【実験の条件】
・全ての花資材はワイヤリングし、それぞれぴったりとついた状態です。
・ローズ、カーネーションはそれぞれ同じ箱から出したものを使います。
このままの状態で、1週間、室内に放置しました。
翌週に状態をチェックしてみました
さて、丸1週間上記の状態で室内に放置しておいたプリザーブドたち。季節は秋で、この1週間は大雨や降り続く雨の日はありませんでした。
さっそく分解してみます。
色移りしているものとしていないものが
左側から順番に外してチェックをしていきます。
●白いローズ×緑のアジサイ
色移りはありませんでした。
今回は移っていなかったのですが、経験上、緑のアジサイは色移りをしやすいように思います。
●赤カーネ×黒アジサイ×白ローズ
次は赤カーネ×黒アジサイ×白ローズです。外す前からくっきりと色移りが確認できます。
色移りしています。
赤いカーネーションと白いローズそれぞれに黒のアジサイが色移りしています。
黒は色が強いので、ほんの少しの色移りでも目立ちます。隣に使う花材には注意が必要ですね。
●白ローズ×プリザーブドヘデラ×赤カーネ×アートリーフ
次は、先ほどの白いローズはそのままで、プリザーブドリーフとアートリーフでプリザーブドをはさんでいます。
色移りはありませんでした。
白いローズの左側は黒いアジサイで色が写っていますが、プリザのヘデラ側には、色移りはありません。赤いカーネの色は、アートリーフにも移っていませんでした。
●アートリーフ×白ローズ×リボン
色移りありませんでした
アートリーフ、リボンの色はそれぞれ白ローズには移りませんでした。
●リボン×赤カーネ×コットンパール×白ローズ×赤カーネ
リボンとコットンパールでプリザーブドをはさみ、最後に何もはさんでいないローズと赤カーネを見てみます。
白ローズとコットンパールに色移り
リボン×カーネは色移りはしていませんでした。その次の赤カーネ、コントンパール、白ローズで色移りが発生しています。
まず、コットンパールに赤カーネの色が移って赤い点が出ています。
さらに、コットンパールの白ローズと接している面。点線の丸で囲んだ部分ですが、コットンパールの真珠塗料とプリザーブドの相性が悪いのか、コットンパールに花びらが糊でつけたようにぴったりと張り付いていていて、外そうとした所、ちぎれてしまいました。
また、コットンパールを挟んでいたものの、白いローズにカーネーションが当たってしまった部分は、赤が点々と色移りしてしまいました。
そして最後の何も挟んでいない赤カーネと白ローズです。なんとこれは色移りしていませんでした。
拡大してみます。
全く色移りをしていません。隣のコットンパールを挟んだ同じバージョンは赤が色移りしていたのに、こちらは全く移っていないことになります。
今回の結果
今回の結果をまとめてみました。
●白ローズと緑アジサイ
⇒色移りしなかった
●黒アジサイとプリザーブド
⇒色移りした
●ヘデラプリザーブドリーフ、アートリーフとプリザーブド
⇒色移りしなかった
●プリザーブドとリボン
⇒色移りしなかった
●赤カーネーションとコットンパール
⇒色移りした
●赤いカーネーションと白いローズ
⇒色移りするもの、しないものがあった
まとめ
今回は、色移りがわかりやすいように敢えて赤、白、黒といった極端な色どうしを合わせたのですが、プリザーブド資材同士が重なる場所は、やはり色移りしやすい傾向にあるようです。
色移りを防方法として、以下のようなことが考えられます。
【色移りを防ぐ方法】
●色移りしやすそうな資材と資材の間に、出荷直前までティッシュや薄葉紙などを挟んでおく。
●色移りしやすそうな場所にリボンやリーフをはさむ(ただし、リボンに色が移る事がありますし、逆にリーフの色が花に移る事も)。
●色移りしやすそうな資材同士をほんの数ミリ(まはたそれ以下)、わずかに離す。
●湿度の多い時期に、濃い色のプリザーブド資材はつかわない。
●同色系を使用する
今回はだけはどうしても色移りを防ぎたい!という方は、参考にしてください。
ある程度の色移りはプリザーブドフラワーの特性上、仕方ないのですが、百貨店の店頭や、花嫁様への納品時などには、極力、色移りしないよう、心がけたいですよね。
お花の知識をしっかり学びたい方には、『プリザーブドフラワーアドバイザー検定』もオススメです。
プリザーブドフラワーを自分で作る方法や、各メーカーの特色、様々なお花のワイヤリング方法なども網羅されていますので、これから知識を増やして行きたい方はぜひどうぞ。
さて後編では、販売後の最大の難点であり、色移りにも影響する『湿気』について考えてみたいと思います。よろしければぜひご覧下さい。
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